骨粗しょう症外来
みなさんは「骨粗しょう症」と聞いてどんな印象をお持ちでしょうか。
多くの患者さんからは「年だから背骨が折れて背中が曲がることも仕方がない。」とか「多少骨が弱っても、寿命には関係ないので心配ない。」という話をよくお聞きします。
しかしそれはどちらも間違っています。
そもそも、人間の骨の量は20~45歳くらいでピークに達し、その後は年齢とともに、徐々に減っていきます。骨が減ったことで、スカスカになって骨折しやすくなったり、身体を支えられず背骨が曲がったりするのが骨粗しょう症です。
骨粗しょう症は、運命でも宿命でもなく、ちゃんと治療すればしっかりコントロールできる病気です。
正しい知識をもって、早期発見・早期治療をしていきましょう!
みなさんにより骨粗しょう症の理解を深めていただけるように、定期的に市民講座を開いていきます。お気軽にご参加ください。
骨粗しょう症チェック
最近、こんなことを感じていませんか?骨粗しょう症によくある初期症状です。
□ 背が縮んだような気がする(実際に身長が縮んだ)
□ 背中や腰が曲がったように感じる。
□ 背中や腰がだるく、痛むことがある
□ 腰が痛いが、レントゲン検査をしても椎間板や脊椎間には特に異常がない
まつした整形外科の骨粗しょう症検査機器
かかとで計る簡易骨密度検査機器もありますが、より正確に測定するため、当院では骨折しては困る脊椎(背骨のほね)や大腿骨近位(股関節の近くです)の骨密度をきちんと計測できる機器で検査を行います。
骨粗しょう症の治療法
骨粗しょう症は、「骨の生活習慣病」とも言われ、加齢や閉経によるホルモンバランスの乱れ以外にも、食事や運動習慣などが大きく関わってきます。
そのため、お薬だけに頼るのではなく、食事や運動習慣も骨粗しょう症の予防や治療には大切です。
■薬物療法
骨粗しょう症は、お薬の治療が中心になります。最近は、多くの優れたお薬が使用できるようになりました。そのおかげで、手をついただけ、ちょっとぶつけただけなど些細な力でも骨が折れてしまう、脆弱性骨折を予防できるようになりました。
【主な治療薬】
大きく分けて、3種類の治療薬があります。
年齢や体質・骨の状態・他の病気とのバランスを考えて、最適な組み合わせを探っていきます。
- 骨の吸収を抑える「骨吸収抑制剤」
- 骨の形成(新しい骨を作る)を助ける 「骨形成促進剤」
- 骨の栄養素である「ビタミン剤(D、K)」
骨粗しょう症は、薬で進行を遅らせることができます
骨粗しょう症は、高血圧や糖尿病のように、薬を飲みながら根気よく長期間治療する必要がある病気です。
ただ、最近は新しいお薬が開発され、お薬を飲むことで、骨折の危険性を減らすことができるようにもなりました。
根気よく一緒に治療していきましょう。
■食事療法
骨を強くする食事のポイントは、みなさんよくご存知のように、カルシウムです。カルシウムは牛乳やチーズ、豆腐などに多く含まれます。
ただ、実は…カルシウムをとるだけでは骨にはなりません。
たんぱく質や骨の吸収を助けるビタミンDも一緒に摂ることが大切です。ビタミンDは、干ししいたけやきくらげ、うなぎや鮭に多く含まれます。また、日光を浴びることでも、体内でビタミンDが生成されます。
■運動療法
運動不足は骨密度を低下させる要因です。
骨を強くするためには、運動で骨に刺激を与えることです。できれば、バレーボールやテニスなど骨にかかる力が大きく、何度も繰り返す運動が骨を強くしますが、ウォーキングなど、無理のない範囲で続けられる運動を取り入れるだけでも効果があります。
特に、日光を浴びると、身体の中でビタミンDが作られます。
午前10時から午後3時の明るい日差しの中で、少なくとも週に2回、5分から30分の間、日焼け止めクリームを塗らず、日の光を浴びながら散歩すれば、十分な量のビタミンDが作られます。
参考サイト
- ■帝人ファーマ:いいほね.jp
- http://www.iihone.jp/
- 骨の健康に役立つ情報を集めたサイト。骨粗鬆症の予防や検査、治療法、骨の健康チェックや医療機関リストも掲載しています。毎月更新のコラムでは最新情報を発信。